飲料水と水の情報
日本の水
日本の自然に流れる水は欧米と異なりほとんどが軟水となっています。これは地形による影響が大きいと思われます。
日本は山から海までの距離が短く、山から流れる水は硬水になるまでのカルシウムやマグネシウム分が溶け出したり湧き出すほど距離が無く、これらミネラル分が少なくなります。
一方欧米では地域によっては多くのミネラル分を含んだ地質であり、また雄大な地形によりそこを時間をかけて流れ、多くのミネラル分を含んだ水となります。このため日本は軟水、欧米は硬水が多い理由です。
この水を元にして日本の水道水は作られていますが、日本の水道水は塩素により消毒されています。このため今までは安全に飲めると思われていましたが、最近ではこの水道水にもいろいろ健康を害する物質が含まれていることが叫ばれ、美味しい水を求めて浄水器や整水器、またコンビニエンスストアではミネラルウォーターが多く販売されるようになってきました。
おいしい水の基準ってなに?
厚生省(現厚生労働省)おいしい水研究会が1985年に発表した【おいしい水の要件】は以下のようになります。
蒸発残留物 | 30〜200mg/l |
硬度 | 10〜100mg/l |
遊離炭酸 | 3〜30mg/l |
過酸化マンガン酸、カリウム消費量 | 3mg/l以下 |
臭気度 | 3以下 |
残留塩素 | 0.4mg/l以下 |
水温 | 20℃以下 |
数値を見た限りではおいしさは表現できませんし、おいしさの感覚は個人差がありますので絶対数値ではありません。適度な物質が適度に残り、適度な温度で飲むことがおいしい要件と言えます。
日本の水道水には消毒のための塩素臭が少なからず残っていますが、このにおいは煮沸して取り除くことができます。塩素臭の取り除かれた水を冷やして(10℃から15℃)飲むと水道水でも美味しく飲むことができます。
カルキ臭
水道水がカルキ臭いと言われる原因は、水道水にアンモニア性窒素ともともと消毒目的で含まれている塩素が化学反応を起こして生成された結合塩素によりこのカルキ臭が起こるためです。
カルキとはKalkというオランダ語が語源で石灰(酸化カルシウムの通称)のことです。
またカルキを使用したさらし粉は次亜塩素酸カルシウムで水に溶けやすく酸化力が強く、このため漂白や消毒に使用されます。学校のプールなどに消毒用途としても使用されています。
カルキ臭の除去
一般に市販されている浄水器や製水器を使用することでカルキや残留結合塩素を取り除きカルキ臭をおさえる事が出来ます。ただ、この様に浄水器などを使用する場合にはフィルターの除去能力が落ちてきている場合、うまく除去できなかったり雑菌の繁殖があったりするため、定期的な交換が必要です。
また、電気湯沸かし器にはカルキ飛ばしという機能がついており、一定時間煮沸をすることで残留塩素を除去しカルキ臭を減少させています。これ以外に長時間放置してカルキ臭を減少させることもできます。
水道局の安全でおいしい水への取り組み
ほとんどの国民の元に水道水の供給が行き渡っており、今や水道をひねると当たり前に水が手にはいるようになっています。最近の傾向として、この「当たり前の水が安全であるのか」という関心が増えてきているようです。その証拠に民間業者によるミネラルウォーターや、アルカリイオン水、浄水器、整水器など多品種の水関連商品が販売されています。ミネラルウォーターに至っては外国から著名産地のミネラル豊富なペットボトル入りのミネラルウォーターが輸入されているほどです。
さらに今の健康ブームの波に乗り、多くの製造業者から特徴ある整水器や浄水器も販売されています。ただ、ミネラルウォーターが体に良い影響を与えるから売れている、というよりもコンビニなどで手軽に水道水よりも美味しい水が手に入るために販売数量もかなり多くなっていることも考えられます。
しかし一昔に比較して水道局の動きもかなり変化があります。
各地の水道局はいかにすれば安全で美味しい水を家庭に届けることができるかと、日夜取り組んでいます。その内容を少しご紹介しましょう。
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